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〖イケメン戦国〗翡翠色の向日葵《豊臣秀吉短編集》

第9章 【誕生記念】妹なんかじゃいられない! / ◆&♥





「……成程な」




光秀さんは私の話を聞き、顎に手を当てて小さく息をついた。
私はしょげるように俯き……
さらに悔しい現実をぽつりぽつりと告げる。




「こういうの、前にも一度あったんです。秀吉さんは今回もその時も気にするなって言ってくれたけど……」

「……ふむ」

「改めて私って秀吉さんに釣り合わないのかなって思ったんです。いつまで経っても"妹"が抜けなくて、そう見られてしまって……恋仲なんて、おこがましいのかなと」




(なんか余計にへこんだかも……)

言葉にしてみると、ありありと実感してしまう。
そりゃ私と秀吉さんは歳も離れているし、秀吉さんは大人の男の人で、私はどちらかと言うと子供っぽいし。
前は兄妹みたいな関係だった、だから……
今でもそれが付きまとい、兄が妹の面倒を見ているみたいに見られてしまうのか。

でも、今は立派な恋仲の関係だ。
もう対等な立場で居るはずなのに、そうなれないのは、やっぱり私が秀吉さんの隣に並ぶには相応しくないからだろうか。

私が嘆くように溜息をつくと、頭にぽんっと優しく重みが乗った。
視線を上げれば、光秀さんが私の頭を撫でていて……
何やら穏やかな顔つきをしながら、いつものように低く艶やかな声で言った。




「つまり、お前は大人の女になって、妹を脱却したいと……そういう訳か」

「……そういう事になりますかね」

「今のままのお前でも、秀吉が満足なら、それはそれでいいのではないか?」

「それじゃダメなんです、秀吉さんに釣り合うような…そんな女の人になりたい」

「……そうだな、手がない訳では無い」

「え……?」




光秀さんの言葉に、思わず目を輝かせる。
すると、光秀さんは少しだけ不敵な笑みになり、私に向かってまさかの大胆な提案をしてきた。








「大人の女はそれなりの色気と駆け引きを持ち合わせているものだ。だったら……お前が秀吉を"誘惑"してみるといい。俺が策を講じてやろう」








────それは思いがけない言葉
子供っぽい私が、秀吉さんを誘惑なんて。
そんなの、思いつくわけがなかった。

でも、私にも出来るのかな。
色気と駆け引きを使って……
秀吉さんに相応しい魅力的な女の人に。

私は、そんな大人の女になれるのかな?






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