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死刑囚

第1章 徴集


「本丸における食費及び水道光熱費は経費として計上されますのでご安心を。被服費は経費に計上されません。正装と普段着、寝間着、下着類は支給されますがそれ以外を希望する場合、戦果に応じて支給される特別手当を充ててください」

着道楽の気はないし、むしろ見苦しくなければ着るものなんてなんでもいいクチだから支給されるものだけで十分だ。それより食費と水道光熱費が経費で落とせるのはありがたい。まぁ死なない程度に食べられればそれでいいから食道楽に走るつもりもないけど。身についた貧乏性が哀しい。

「体調不良などで医療機関を受診したい時はこんのすけを通じて申請してください。時の政府直属の医療機関へご案内します。勿論医療費も経費として計上されます」

とりあえず、最低限の衣食住は保証してくれるらしい。ひとまず安心だ。生活の基盤がなければ勝てる戦も勝てない。

「刀剣男士が増えてきたら本丸の拡張も出来ますよ、色々と条件付きではありますが」

「え?刀剣男士って何ですか?」

また聞いた事ない専門用語だ。この際だから説明してもらおうか。

「先程貴女が顕現した加州清光様をはじめとした、刀の付喪神様のことですよ。現在73振いらっしゃいます」

「そんなにいるんですか?」

「ええ。まあ、何振揃うかは貴女次第ですがね」

どういうことだろう…全員、というのは流石に虫が良すぎるのはわかるけど。まさか清光一振だけ、という訳ではあるまいに。

「その辺りのこともこんのすけに説明を受けてください」

どうやら説明する気はないらしい。話は清光を使いこなせるようになってから、ということか。

「さて、確認です。貴女に課せられた任務はひとつ。歴史をあるべき姿に戻し、この国の未来のために戦うこと。それだけです」

それであのひとが戻ってくるのなら、私は何だってする。あのひとを取り戻せるのなら。

「全ての戦いが終わった時、貴女の刑が執行されます。初期刀によって首を撥ねられて」

……そう、だ あのひとを、取り戻しても、私、は、もう、そばには、いられ、ない

突きつけられた現実に、目眩がした。
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