第8章 捌ノ型. 悪意には悪意を
「いい判断だ、お前達鬼殺隊の誠意に賞賛を送る。我らも心を込めて地獄最大の罰を与えよう。」
「え!朱嘉、もしかしてあれやるの?」
「あれ結構疲れるんですよ?貴方分かってます?」
「俺は朱嘉に従う。こいつらには似合いの最後だ。」
「黙ってやれ。さっさと終わらせてお嬢に会いに行くぞ。」
「お嬢にちゃんと会うの久しぶりだな〜。一杯甘やかして貰うんだ俺〜。」
「蛍清狡いですよ。私が先でしょう。」
この場に似合わない程明るいやり取りをする朱嘉達。
鬼神達の会話の意味がわからない鬼殺隊。
しかし不安も虚しくことは進む。
空に手を向けた朱嘉達が何やら呪文を唱え、
大地が揺れたのは瞬きの間だっただろう。
それだけなら良かったのだが、次の瞬間隊士達は今まで感じたことの無い恐怖を味わうことになる。
地鳴りと共に開いた空間の裂け目から覗く幾千幾万という鬼達の眼光に。
裂け目から溶け出た影が主犯隊士達を飲み込むのは一瞬だった。
絡め取られた人型の影から助けを求める声だけが聞こえる。
「い、嫌だ!止めてくれ!」
「死にたくねえよ!!!」
「母さん!父さん!」
「こんな筈じゃ...」
「お館様っ!誰か!助けてくれ!!」
裂け目が閉じる瞬間まで聞こえた命乞いの言葉を、朱嘉達はせせら笑う。
それはもう冷酷に。
「安心しろ、そこは鬼神の餌場。死んでも蘇り、永遠に生きたまま貪り食われる処刑場だ....ああ、すまねえ、もう聞こえてねえか。」