第8章 捌ノ型. 悪意には悪意を
裂け目が完全に閉じたのを見てから朱嘉達は、残された柱と隊士達の方へ振り返った。
こちらにも何か罰があるのかと身構えた隊士達だったが、杞憂に終わる。
先程まで恐怖の中心にいた鬼神達が、流れるように跪いたからだ。
「此度は我らの思いを受け入れ、この様な場を設けていただき感謝申し上げる。貴殿ら鬼殺隊が信用に値する方々と見込み、ここに我ら鬼神と鬼殺隊との同盟を申し入れたい。」
皆が朱嘉のあまりの変わりように何も言えないでいる中、ただし、と朱嘉は続けた。
「申込む側であることを理解した上で条件がある。我らが主、暁天 刹那を今後一切疑わず、害さない事。そして我らの行動は全て、主を守る事が最優先だと理解する事。それが守られるうちは、我らは最後まで鬼殺隊と共に戦う事を約束する。」
否定を認めないという強い口調に、お館様は笑った。
元からお館様には刹那を害するつもりがないからなのかもしれないが、こんな状況でも冷静を保っているのは流石産屋敷の当主という事なのか。
「その申し出、謹んでお受けしよう。それに先日の収集の目的はそれが本題だったからね。」
そう言い立ち上がったお館様は後方に広がる柱と隊士達を見渡して、声を張り上げた。
「本日より我ら鬼殺隊はこの者達と同盟を結んだ!そしてここに、暁天 刹那隊士の柱襲名を宣言する!現柱全員からの推薦である事を理解し、今後彼女に対する行動言動を改める事をお願いする!」