第1章 壱ノ型. 出会う
隊士の弱体化の一報を受け、直ぐにお館様の元へ向かう事の出来なくなった我が身をお許しくださいませ。
片足を失い戦えぬ私の代わりに、娘の刹那をそちらへ向かわせました。
娘は私の厳しい訓練に耐え、齢18にして多くの鬼を斬っている身です。
お館様の力になれるでしょう。
娘を鬼殺隊に送るにあたって、お館様に伝えておくべき事がございます。
娘の体には色濃く鬼の血が流れております。
信じ難いやもしれませんが、その子の父は鬼神という地獄の鬼です。
鬼舞辻の作り出した鬼を狩る使命を持つ者。
子供の頃のおとぎ話でしか聞いた事のないような存在、しかし鬼殺隊と同じく鬼舞辻を討つ日を夢見る鬼、それがその子の父です。
案の定生まれた娘も鬼でしたが、
しかし娘は鬼でありながら飢餓状態に陥る事も、人を喰う事もなく、人間と同じように生活する事が出来ます。
もし今娘が鬼である事により罰せられる状況にいるのなら、私に罰をお与えください。
娘に罪はございません。
鬼殺隊を退いた後とはいえ、鬼と子を生したのは私なのです。
全て私が悪いのです。
私の我儘とは十分承知しております。
ですがどうか鬼という先入観を捨て、娘を真っ直ぐ見てやってください。
それが私の唯一の願いです。
元露柱 暁天 玉藻