第1章 壱ノ型. 出会う
いよいよ雲行きが怪しくなってきた時、
『.......手紙を、』
ポツリと少女が呟いた。
『お館様に、母からの手紙をお持ちしました。読んでいただければ私が何故ここへ来たのか、分かっていただける筈でございます....』
「手紙だあ?適当な事言ってんじゃねえよ....罠か何かだろうが...」
苛立たしげな視線を向ける不死川を無視して少女は体を起こす。
『着物の内側にございます、どうぞお取りになってください。』
「では私が取りましょう」
そう言って立ち上がった胡蝶を待てと富岡が静止した。
「罠かもしれないんだぞ、そんな安易に...「大丈夫ですよ」っ...」
「拘束された鬼にやられる程私は弱くありませんし、もし何かあればすぐに殺します」
微笑みながらサラリと物騒な事を言う胡蝶の威圧に、富岡は言葉を詰まらせそのまま押し黙ってしまった。
「では失礼して......あ、ありましたよ〜」
少女の言う通り着物の内側からするりと出てきた手紙を、胡蝶はそのままひなきに渡す。
「なんと書いてあるのかな?」
視力を失ったお館様の代わりに、ひなきが手紙を開く。
「元露柱-ツユバシラ-、暁天 玉藻様からの手紙のようです」
「「「「「「「「「な!」」」」」」」」」
9人全員の声が揃う。
「元柱からの手紙だと?!」
「この女母親からの手紙だって言ってたよな?!」
「よもや!君の母は元柱なのか!!」
ざわめく柱達を他所に、お館様は落ち着いたまま手紙の続きを待っている。
「では、一部抜粋して読み上げます。」
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