第1章 壱ノ型. 出会う
「.....気に食わねえ」
長い沈黙を破ったのはやはり不死川だった。
変わらぬ鋭い目付きで、少女、もとい刹那を睨んでいる。
「元柱の娘だか知らねえが、俺はこいつを鬼殺隊とは認めねえぜ。実力すら分からねえのに仲間になるってのがまず無理な話だ!」
「それに関しては問題はないよ。」
吼える不死川に対して、お館様はやはり冷静だ。
「その子は今日、下弦の鬼を1人で倒している。元は杏寿郎に向かわせたんだが、たどり着いた時には下弦は既に首を斬られていたらしい。杏寿郎は見ているよね...?」
「うむ!しかとこの目で見た、実力は申し分無いと言える!!更にはその後俺の抜刀も止められてしまった!!柱として不甲斐なし!穴があったら入りたい!!」
お館様と煉獄の言葉に不死川は苦虫を潰したような顔になってしまう。
「失礼ですがお館様....」
そんな不死川を見かねてか、次は悲鳴嶼が反論を始めた。
「やはり隊士として迎えるには暫くの時間が必要かと....その女子が信用に足る者かどうか、見極める期間をいただきたい....」
悲鳴嶼の主張はもっともだ。
さあそれでは仲良くやりましょうという訳にもいかないだろうし、それでは誰も納得できないだろう。
特に不死川、伊黒辺りが。
「ではこういうのはどうでしょうか?」
何か考え込んでいた様子の胡蝶が急に声を上げる。
「彼女、刹那さんには暫く私達のうちの誰かの家で住み込んで貰って、そのまま一緒に任務をこなしていただくんです」
胡蝶の考えはこうだ。
今話し合っても結果が見えないのなら、いっその事一緒に死戦をくぐり短期間にお互いを知ってしまえばいい。
荒療治だが、確かに1番早く1番効果のある作戦だろう。