第8章 捌ノ型. 悪意には悪意を
「刹那!!っ、これは....」
勢いよく部屋に飛び込んだ煉獄が見たのは真っ赤な部屋。
「煉獄!刹那は無事かってうわっ!?こりゃひでぇ...」
「なんて事...酷い匂い。」
「刹那!!」
煉獄に続いて柱が揃うが、皆部屋の中には入らない。
否、入れない。
部屋の中には血だるまで床に転がる隊士が5人程と、その他に角の生えた長身の男が4人。
隊士は死んではいないようだ。
微かに聞こえる呻き声と呼吸音がそれを教えてくれる。
部屋の主である刹那は白髪の男に抱き抱えられているが、意識を失っているらしい。
最悪の状況。
ことの流れを聞くまでもない。
羽織から出た刹那の脚や肩に見える鬱血痕から、ここで何があったのかを知るには充分だった。
白髪以外の長身の男達3人は、抱えられた刹那を守るように円になり倒れた隊士を見つめてる。
握られた刀から滴り落ちているのは言わずもがな隊士の血。
「おい、その中に胡蝶という女は居るか...」
動けない柱達を見かねてか、男の1人が言葉を発する。
煉獄はその男に見覚えがあった。
宇髄もそうだ。
先日垣間見た刹那の記憶の中で、刹那を抱え逃げた鬼。
(確か名は朱嘉....)