第8章 捌ノ型. 悪意には悪意を
そう言った途端その場の空気が緩む。
悲鳴嶼は微笑み、煉獄、宇髄は豪快に笑い
甘露寺、胡蝶は顔を見合わせて喜んでいる。
時透、冨岡は何を思っているか分からないが
不死川と伊黒に関しては当然だという顔をしているから面白い。
「でも、」
そんな浮かれる柱達を一瞬で静かにさせたお館様。
「刹那の事を悪く思う者も少なくない事は知ってるね?私や柱の君達を除くと、彼女の周りはまだ敵が多い。鬼殺隊全体に認められるにはまだ長い月日がかかるだろう。」
そんな事は百も承知だと言うような強い視線から目をそらさずお館様は続ける。
「だから君達は刹那の理解者になるんだ。どんな時も彼女を信じ、守る事を約束してくれ。それが柱という重い責務を彼女に背負わせる君達の責任だよ?」
一瞬の静寂。
しかし次の瞬間には、
「「「「「「「「「御意!!」」」」」」」」」
強い意志を持った返事が響き渡った。
一人一人の意志を感じながらお館様は安堵する。
早く刹那に教えてやりたい。
刹那を認め、慕う者はここに居ると。
お館様が傍らに座るひなきの方を向き指示を出す。
「ありがとう。ひなき、では刹那を呼ん「ぎゃああああ!!!!!!」っ!?」
その時だった。
尋常ではない叫び声が聞こえたのは。
柱全員が臨戦態勢に入る。
その中でもいち早く立ち上がった煉獄が部屋を出た。
「杏寿郎!悲鳴は刹那の部屋の方から聞こえた、急いでくれ!」
お館様の声が届いたのか煉獄の足音は迷いなく進む。
煉獄を追って残された柱も全員部屋を出た。
しかし皆後悔することになる。
一瞬でも刹那を1人にしてしまった事。
そして自分達の刹那に向けられる悪意の認識の甘さに。