第8章 捌ノ型. 悪意には悪意を
同日同時刻別室
「皆揃ったようだね。議題は、刹那の柱就任についてだ。」
静かな部屋にお館様の声が響く。
ここにいる柱が誰一人として驚かないのは、薄々勘づいていたからだろう。
「驚く者は居ないか....天元からこの願いが届いた時は私も少し驚いたのだが、まあ柱全員の署名が入っているところを見ると皆異議は無いのだね。」
そう言ってお館様は優しく微笑む。
刹那を隊士として認めてもらう為の期間だったというのに、まさかここまで柱を突き動かすとはとここには居ない刹那に感心してしまう。
ここ最近任務の報告に来る度、皆が刹那は息災かと刹那の事を気にかける事が多くなっていた。
時にはあの時透までもが刹那の好きな菓子はなんだと聞いてくるものだから、遅かれ早かれこうなるとは思っていたお館様だが
(短期間で心を掴んだか....末恐ろしい子だな....)
無論刹那程の実力があり柱の署名が集まった以上、産屋敷としては断る理由が見つからない。
本来なら階級を重ね甲の階級へ至ってから順を追い柱を就任するのだが、
今回は特例中の特例。
ここでこの案を流したとして得するものは誰もいない。
(気がかりな事はあるが....)
まずはこの真っ直ぐとこちらを見据え答えを求める子供達を、安心させてやらねばと思う。
「産屋敷は、暁天 刹那の鬼殺隊入隊及び柱就任を認める。」