• テキストサイズ

ナルシサス。【煉獄杏寿郎】

第6章 陸ノ型. 理解する事 ~時透無一郎・悲鳴嶼行冥の場合~






『痴れ者めが....』




呟いて刹那が手を離すとそのまま隊士は崩れ落ち、残る意識だけで刹那を睨むが、





「あ、ああ...」




直ぐにその目には怯えの色が滲む。



冷たい目が隊士を睨み、汚物でもあるかのように口元を袖で隠す刹那に



初めて隊士は自分がどれだけ危険な状況なのか悟った。





刹那の目は語っている。


自分を殺す事など造作もないのだと。




『お前のような痴れ者には一生理解出来まい。時透様の力は、才能だけだと思うてか?分からないでしょう、可哀想に、理解されない時透様も不憫だわ。』




「な、何を言って」



『潰れて硬くなったマメにより掌は腫れ、刀の持ち手に血はにじみ、一朝一夕では作り込めるわけが無いあの体。天才という言葉などただの後付けに過ぎぬ。彼は努力をしたから強いのよ。』




「知るか!俺は充分強いんだ!あいつより!絶対に!」




刹那の言葉の意味を読み取れない隊士は、尚も吠える。



その姿があまりにも滑稽で

刹那は更に言葉を続ける。



『本当におめでたい頭をしておられる。お前は何のために鬼殺隊にいるの。何のためにここに稽古をしに来たの。酷く不快だわ。』




何か言い返さねば。

そう思ってはいるのに、年下の柱に一太刀もいれられず、
その上急に現れた刹那にも負け
言い返す言葉すらもう底つきてしまった。





(誰か助けてくれ)






「そこまでだ、」




隊士の祈りが届いたのか否か、突然襖が開き大柄な男が入ってくる。





岩柱、悲鳴嶼行冥だ。
/ 210ページ  
スマホ、携帯も対応しています
当サイトの夢小説は、お手元のスマートフォンや携帯電話でも読むことが可能です。
アドレスはそのまま

http://dream-novel.jp

スマホ、携帯も対応しています!QRコード

©dream-novel.jp