第1章 壱ノ型. 出会う
「「お館様のおなりです。」」
宇髄が半ば諦めたその時、広い庭ににちかとひなきの声が響く。
途端膝をつき頭を下げる柱達
2人に手を引かれ流れるような足運びで前に出た顔に傷のある彼こそが、鬼殺隊のお館様である。
「よく来たね、柱合会議の顔ぶれが変わらないのはいい事だ。」
優しく目を細め、柱達を労うお館様。
「お、お館様におかれましてもご創建で何よりです!益々のご多幸を、あ、せ、切にお祈り申し上げます!」
少し間が空いて頬を赤らめながら甘露寺が挨拶をする。
「ありがとう、蜜璃」
(や、やっと言えた〜〜!)
「恐れながらお館様!柱合会議の前に一つ、俺が連れてきたこの鬼の少女について!話し合う時間をいただけないだろうか!」
お館様への挨拶をやっとの思いで勝ち取った甘露寺が心の中でガッツポーズをする中、煉獄が勢いよく発言した。
活力に満ち溢れた煉獄とは対照的に、隣で拘束されたままの少女はただ黙ってお館様を見つめている。
「そうだね。隠から事のあらましは聞いたよ。僕に会いたがっている鬼を杏寿郎が連れてくると。」
「では今からその事についての話し合いを...「はっ!話し合いなんて必要ねえだろ。いくら日の下を歩けようが鬼は鬼だ!なんでお前がその鬼を殺さずに連れてきたのか、俺には理解できねえ!」
鬼の話題になった途端、これまで黙っていた不死川が煉獄の言葉を遮りついに口を開いた。
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