第14章 拾肆ノ型. 遊郭潜入
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[あーーーー!退屈!ねえ!俺もう離れていい!?いい加減飽きたんだけど!!]
人影の無い廊下で影から焦れた様に声を上げたのは、伊之助を護衛する蛍清だった。
あの後宇髄によって3件の遊郭へと売られた4人は、各々潜入捜査に勤しんでいる。
刹那と炭治郎は"ときと屋"
善逸は"京極屋"
そして伊之助は"荻本屋"。
内部へ入れば直ぐに嫁達の動向が分かるとふんでいたのだが...
「うるっせぇな!俺だって好きでこんな事してんじゃねえよ!!」
どうも思ったように事が進まず、そう苛立たしげに蛍清へ反論する伊之助。
彼は今、道中聞いた宇髄の嫁"まきを"の無事を確認する為彼女の部屋へと急いでいる所だ。
極力人に見られぬよう注意深く行動し、着慣れぬ着物も我慢しているというのに
自分の護衛であるはずの蛍清は乗り気ではない。
というよりも、興味が無いといった様子。
先程から「帰りたい」やら「飽きた」やらぼやいている。
そんな蛍清の態度に、
(本当にこいつ強いのか?)
等と疑ってしまう程。
殴りたくても相手は影の中。
基本話し合いよりも拳で語る事の方が多い伊之助にとって、この状況はよろしくない。
聞こえる愚痴と、先程から微かに感じる嫌な空気。
その2つが尚更伊之助の苛立ちを募らせた。