第14章 拾肆ノ型. 遊郭潜入
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同日某時刻 花街路地裏
「で?貴方が言ういい考えとはこの事ですか....」
「いい案だろ?」
くっくっと笑う朱嘉に対して、紫苑の姿は見えない。
声だけが薄暗い路地裏に響き、その出処はどう考えても炭治郎の影の中。
そう、朱嘉の思いついた案とは、
炭治郎達を含めた遊郭潜入組4人の影の中に自分達を潜ませるというものだった。
「ねー、朱嘉ー。俺が刹那以外の影入るの嫌いって知ってるよね?しかも猪頭の影なんて、本当に嫌なんだけど。」
「俺も出来れば刹那様の護衛をしたいんだが...」
紫苑に続いて、蛍清と烟霞の声も聞こえる。
声だけで分かるほどに、蛍清は不機嫌丸出しで烟霞も心做しか不服そうだ。
2人の声を聞いた朱嘉は、その場にそぐわぬ楽しそうな笑みを浮かべる。
あの後直ぐ蛍清と烟霞を呼び寄せ嫌がる2人を伊之助と善逸の影の中へ押し込めた朱嘉の顔は、最近で一番生き生きとしていただろう。
まあ、2人の不機嫌も関係なく炭治郎達は見慣れぬ技に嬉嬉としているが。
「凄い、本当に俺の影から紫苑さんの声が聞こえる...」
「ねえこれ乗っ取られたりしない!?次の瞬間には俺の意識無いなんて事にならない!?」
「すげえ!すげえ!俺もやりてえ!!」
騒ぐ3人に刹那は口元へ指を近付け、静かにと呟く。
3人が驚くのも無理はないが、今は急をようする。
現に早く出発したいのか宇髄は少し離れた場所で貧乏揺すりを繰り返していた。
宇髄の不機嫌が爆発する前にと、3人に手早く紫苑達を呼ぶすべを説明する。