第13章 拾参ノ型. 杏の心痛
以前刹那の事を相談していた流れもあって、宇髄にこの気持ちはなんだと尋ねればそれは嫉妬だと言われた。
[派手に甘えりゃいいだろ、お前のその感情全部刹那にぶちまけりゃ良いじゃねえか。]
脳裏で豪快に笑う宇髄の顔を思い出しつつ、
(そんな簡単な事じゃないぞ。)
そう軽く悪態をつき、
痛む頭に溜息を吐くとふわりと髪に触れられる感覚。
ちらりと目線だけ上げれば、愛しげに自身を見つめる刹那の目と目が合った。
『私を放って、考え事?』
「っ...!」
艶やかなその声と仕草に堪らなくなってその細い腰を抱き上げ自分の膝上に乗せる。
薄手の寝間着のせいか、この前よりも明確に刹那の体温を感じ取れた。
変わらず煉獄の髪を弄ぶ刹那の手を受け入れつつ、掬い上げるように口付け刹那の甘い唇を堪能する。
暫く浅い口吸いを何度か繰り返してそっと唇を離せば、頭ごと抱きかかえるように抱きしめられた。
『もっと...』
離れる唇に、物足りなさそうな顔でそう懇願してくるものだから煉獄はくらりとしてしまう。
恋に酔うとはこの事だ。
目の前一杯に広がる愛しい女の美しさには、月の輝きすら負ける。
(ああ、愛いなぁ...)
溢れる愛情に目を細め、
煉獄を受け入れるためゆるりと開かれた刹那の形のいい口に己の舌を侵入させる。
絡まり合う水音と、時折漏れ聞こえる刹那のくぐもった甘い声が煉獄を更に興奮させた。