第11章 拾壱ノ型. 無限列車
変わらぬ厳しい表情。
「俺は如何なる理由があろうとも鬼にはならない。」
「そうか...」
尚も折れぬ煉獄の答えに、猗窩座は遂に言葉を止めた。
しかしそれは、煉獄を殺す対象として認識したという事。
「鬼にならないなら殺す。」
静かな合図だった。
猗窩座が言ったと同時に始まった戦闘。
見えるのは斬撃と猗窩座が技を繰り出す光だけ。
(目で、追えない!!)
余りの速さに驚愕する炭治郎。
「素晴らしき才能を持つ者が醜く衰えてゆく!俺は辛い!耐えられない!死んでくれ杏寿郎、若く強いまま...」
「肆ノ型、盛炎のうねり」
離れた距離から攻撃を仕掛けてくる猗窩座に、煉獄は考える。
猗窩座に勝つ方法を。
(このまま距離をとって戦われると、頚を斬るのは厄介だ...ならば、近づくまで!!!)
一瞬で猗窩座との距離を詰めた煉獄は、そのままの速度で連撃を食らわせる。
しかし猗窩座も伊達に上弦では無い。
煉獄の攻撃を防ぎつつ、攻撃をもこなす。
「この素晴らしい剣技も失われていくのだ!杏寿郎!悲しくはないのか!!」
「誰もがそうだ!人間なら!!当然のことだ!!」
激しい攻防の合間に微かにだが聞こえる猗窩座と煉獄の声が、更に炭治郎を焦らせる。
(早く、早く立って煉獄さんを...)
「動くな!!傷が開いたら致命傷になるぞ!!待機命令!!」
気付いた煉獄が炭治郎に吠える。
その間にも猗窩座は攻撃を止めない。
煉獄の剣幕に萎縮してしまった炭治郎と傍にいた伊之助を背後に、煉獄は技を繰り出す。
「炎の呼吸、伍ノ型、炎虎!!!」
ぶつかり合う双方の巨大な力。
爆発と共に消える2人の姿と、爆音の中で聞こえた炭治郎が煉獄を呼ぶ声が切なかった。