第11章 拾壱ノ型. 無限列車
「ヒノカミ神楽!碧羅の天!!!」
「グギャァアアアアッ!!!!」
刹那が煉獄の元へ向かう最中、
列車では炭治郎達が、遂に魘夢の首を切った所であった。
魘夢は凄まじい断末魔をあげ、波打つ振動により列車は派手に脱線してしまう。
幸い、列車に残ったままの魘夢の肉のお陰で大破は免れたが
首を切る際、車掌に刺された腹が痛む炭治郎は伊之助に乗客の救助を頼んだ後も立ち上がることすら出来ず地面に転がったままだ。
(呼吸を整えろ早く...怪我人を...助けないと...)
痛む腹の刺傷は相当深い。
止血しようにも炭治郎にはそんな技術すらないものだから、ひたすら呼吸によって痛みを和らげる。
(禰豆子...善逸...煉獄さん...きっと無事だ。信じろ...)
「全集中の常中が出来るようだな!感心感心!」
苦しむ炭治郎の真上に突如現れたのは煉獄だ。
後方5両を1人で守っていたと言うのに無傷なままの煉獄に柱の力を思い知らされる。
「腹部から出血している。もっと集中して呼吸の精度を上げるんだ。体の隅々まで神経を行き渡らせろ。」
的確に炭治郎の傷を見定めた煉獄は、口早にそう指示した。
「血管がある。破れた血管だ。」
浅い呼吸で集中力を高めようとする炭治郎を煉獄は緩やかに誘導する。
「もっと集中しろ。」
炭治郎は素直に従い、血管という血管を巡って遂に自分の負傷箇所を見つける。
ドクンと脈打つ他とは違う血管。
「そこだ。止血。出血を止めろ。」
言われた通り力を込めてみるが、これがなかなか難しい。
先日常中を会得したばかりの炭治郎には、かなり難易度の高い技だ。
見兼ねた煉獄の指が炭治郎のおでこに置かれる。
そのまま特徴的な瞳が炭治郎を見下ろし、
「集中。」
そう囁いた。