第10章 拾ノ型. 炭治郎と禰豆子
ドンッ!!
が、運悪く曲がり角で誰かにぶつかる。
「いっ、どこ見てやがんだてめぇ!!「あ゛?」...っあ、よ、宵柱様!?鬼神様達まで...」
痛む鼻を抑えながら睨みをきかせる隠。
しかしその顔はドスの効いた朱嘉の声とぶつかった相手を認識した事で、直ぐに真っ青になってしまった。
(宵柱?10人目の柱なのか?)
柱と言う言葉に、隠に担がれる形の炭治郎は首を後ろへと向ける。
隠の視線の先には鬼灯の五つ紋が印象的な揃いの黒い羽織を着た、刹那と朱嘉達の姿があった。
刹那の美しさに目を奪われつつも、炭治郎は嗅ぎなれた鬼の匂いを見逃さない。
「鬼、何故ここに...」
はくはくと口を開け閉めしながら零れた炭治郎の言葉に、ちらりと刹那が炭治郎を見た。
しかしその視線は直ぐに隠へと戻される。
(この人は鬼だと知らないか?!)
早く教えなければと焦る炭治郎だが、
そんな炭治郎に気づかない隠は変わらず慌てたように刹那達へと謝罪を続ける。
「も、申し訳ありません!こちらの不注意で...」
それはもう凄まじい勢いで隠は頭を下げるのだが、
そんな隠を見ながらくすくすと笑った刹那を見て、炭治郎は口をつぐんでしまった。
炭治郎の直感が、今言葉を発してはいけないとそう感じ取ったのかもしれない。