第10章 拾ノ型. 炭治郎と禰豆子
禰豆子とは先程の鬼の妹の名前らしい。
お館様から発せられた言葉に柱はもう何も反論が出来ない。
それもそうだ。
なんせ今自分達の目の前で稀血の不死川を食うこと無く、禰豆子が我慢したのだ。
柱達がまた何かを言う前にお館様は続ける。
「炭治郎。それでもまだ禰豆子の事を快く思わない者もいるだろう。証明しなければならない。これから、炭治郎と禰豆子が鬼殺隊として戦える事、役に立てる事。」
淡々と、だが的確に確信をつくお館様。
そしてお館様独特の声音に炭治郎は不思議な感覚に陥っていた。
思考がふわふわと定まらないような、
ただ、お館様の言葉を噛み締めることしか出来ない己の脳内に理解が追いつかない。
なんとも言えない高揚感。
「十二鬼月を倒しておいで。そうしたら皆に認められる。炭治郎の言葉の重みが変わってくる。」
与えられた高揚感はそのままに勢いよく炭治郎が顔を上げた。
割れたはずの顎や体中の痛みを忘れ、強く強く誓う。
「俺は...俺と禰豆子は鬼舞辻無惨。倒します!!!俺と禰豆子が必ず!!悲しみの連鎖を断ち切る刃を振るう!!!」
「今の炭治郎には出来ないから、まず十二鬼月を1人倒そうね。」
しかし炭治郎の誓いは冷静なお館様の指摘によって折られてしまう。