第10章 拾ノ型. 炭治郎と禰豆子
刹那が鬼殺隊柱を襲名してから早いもので2年の月日が経った。
千寿郎家出事件やら、
不死川所有おはぎ窃盗事件など、
その間色々な濃い事件があった訳だが、その話はまた別の機会にしよう。
どうやら呑気に思い出を語る暇は無さそうだ。
なぜなら今ここ鬼殺隊本部産屋敷邸では、
1人の少年とその妹の運命が決まろうとしているから。
________
____________________
________________
_____
晴れやかな晴天に似合わず、状況は最悪のようだ。
鬼の妹を連れ任務をこなしていた隊律違反の少年と妹をどうするかという話だったのだが、
想像通り不死川がそれを黙って聞いているはずもなく、箱の中にいた鬼の妹を箱ごと刺し引きずり出したのだ。
自らの腕を切りつけ出てきた妹の目の前に血塗れの腕をつきつけた不死川。
そして今は妹への暴挙に我慢の限界を超えた少年が、自分を拘束していた縄を引きちぎった所だ。
「禰豆子!!」
富岡の助力もあり、自分を抑え込んでいた伊黒から逃れた額に痣のある隊士の少年は、
部屋の中へ向かって力の限り叫ぶ。
声の先には不死川と少年の妹。
少年の願いが届いたのか、
血まみれの腕を前に飢餓に耐えながらそっぽを向いた己の妹に、少年はそっと安堵のため息を吐いた。
「どうしたのかな?」
2年前より更に病が進行したであろう、お館様が現状を知る為ひなきに問いかける。
「鬼の女の子はそっぽ向きました。不死川様に3度刺されていましたが、目の前に血塗れの腕を突き出されても我慢して、噛まなかったです。」
淡々と言うひなきに、お館様がふっと優しく笑った。
「ではこれで、禰豆子が人を襲わないことの証明ができたね。」