第9章 玖ノ型. 母襲来
玉藻には分かったのだ。
と言うよりも、きっと今の煉獄を見れば大抵の人間は気づくだろう。
煉獄が刹那に向ける好意は、友や仲間と言ったそんな類のものではないと。
(そうかこやつは...だがまだ気づいてはおらぬのだな...自分の気持ちに。)
思い、目の前で未だ刹那の素晴らしさを語る男の横顔を見つめながら昔逢魔が言った言葉を思いだした。
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「また勝手に刹那を街に連れ出したのかえ?刹那はまだ擬態も出来ぬというのに、可愛い我が子がいじめられてしまうじゃろう!そこを分かっておるのか!」
「はは、そう怒るなよ玉藻。色んなものを見る事は刹那にとっていい事だぞ?」
「この前もそうやって出かけた先で、刹那が酷い言葉を吐かれたではないか!」
「俺達の子だぞ?1回や2回の喧嘩で折れるような子じゃないさ。」
「しかし...そうは言ってもじゃな...」
「玉藻、世界は広いんだ。鬼の刹那も、人間の刹那も両方を愛してくれるやつがきっと現れる。俺がお前と出会ったように。それまでは俺達で守ってやればいい。」
《だから俺を信じろ。》
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