第1章 壱ノ型. 出会う
数刻ぶりに拘束を解かれた刹那は、大きく伸びをして凝り固まった身体を楽にする。
後ろを振り返れば、先程まで刹那を縛り付けていた拘束具を隠に返している煉獄の背中が見えた。
(まさか柱と同居する事になるなんて...)
予想外の出来事、
最初から信用される訳はないと思っていた刹那だが、よもや柱と同居し任務を共にしろと言われるとは思ってもみなかったのだ。
(それを承諾する彼も彼。まあ....)
暫くは母への手紙の内容に困る事は無いななんて考えてみる。
ようやく隠との話が終わったのか、こちらへと向かってくる煉獄。
何やら腕に抱えている様子だ。
「待たせてしまってすまない!まずはこれを君に返そう!!」
ずずい!と目の前に差し出された刀。
紛れもない刹那の日輪刀だ。
「どうした!君のだろう!!」
『よろしいのですか?私に刀を持たせても....』
刀を受け取りながら煉獄に視線を移すが、何が問題なのだと言いたげな瞳と目が合うだけなので気にしないのが1番だと学ぶ。
刀を腰にさしながら刹那の目は煉獄を捉えた。
こうして見ると歳は変わらないくらいだろうか。
背は私より少し高い、赤と黄の特徴的な髪型はまるで獅子のようだ。
まだあどけなさの残る顔立ちとは対照的に、服の上からでもわかるがっしりとした体型と分厚く大きな手は確かに....
(前線で戦う剣士だ.....)
懐かしい、父も母もこんな手だった。
長年刀を握り続けた手は分厚く、少し荒れていた。
懐かしい、そう思いながら煉獄を更に凝視する。
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