第1章 壱ノ型. 出会う
「む?!何だ!俺の顔に何かついているか!」
あまりにもまじまじと己を観察してくる刹那に、煉獄は首を傾げる。
『お気になさらず。所で、自己紹介が済んでおりませんでしたね... 暁天 刹那と申します。』
「うむ!礼儀正しいのは良い事だ!!俺の名は煉獄杏寿郎!!歳は君と同じだ!今日からよろしく頼む!!」
屋敷が揺れるのではないかと言う程の煉獄の声に、刹那は耳を塞ぐ。
この距離で煉獄の声を素直に聞けば鼓膜が何枚あっても足りないというもの。
この先私の鼓膜は無事でいられるのだろうか、そう刹那の脳裏に不安という文字が浮かび上がっている最中に、
煉獄はすたすたと足早に歩き始めてしまっている。
『れ、煉獄様!どちらへ向かわれるのですか?』
「俺の家だ!さあ帰るぞ!!父上や千寿郎にも君を紹介せねばな!」
行動の読めない煉獄に少し焦ったように聞けば、さも当たり前のように答えられてしまう。
「暁天少女急げ!日が暮れてしまう!!今日の夕飯はさつま芋ご飯らしいからな!!君を置いてでも俺は家へ走るぞ!!」
余程芋が待ち遠しいのか、心無しか駆け足気味の煉獄。
『はあ、はしゃぎ方が子供のよう....』
そんな煉獄の様子に刹那は今後の不安で痛くなる頭を抑えながら、彼の後を追った。