第8章 捌ノ型. 悪意には悪意を
「地獄の鬼神と言っても色々いるんですよ。長の下に4つの派閥があって、烟霞は反長側の筆頭。まあ、烟霞が逢魔に敗れてから反長勢力は綺麗さっぱり無くなりましたけどね。」
次々と紫苑の口から出てくる言葉に煉獄は頭を痛めた。
先日まで全くと言っていいほど関わることのなかった世界であるから、無理もないというものなのだが。
真面目な性格の煉獄はどうにか理解しようと、思考をフル活動する。
では、と次に煉獄が視線を向けたのは朱嘉。
朱嘉が刹那の記憶の中で見た鬼だとわかった時から、気になっていた。
先程の裁判しかり、朱嘉の刹那へ対する忠誠心は他の鬼神の群を抜いている。
行動言動全てに、刹那を大切にしている事が滲み出ていたから。
煉獄の視線に気づいた紫苑が、朱嘉の代わりに口を開く。
「朱嘉は逢魔の右腕的な存在なんですよ。鬼神の中でも一目置かれる程逢魔への忠誠心がすごかったですからねえ。この中で1番の古株と言っていいかもしれません。」
紫苑に続いて蛍清。
「俺達全員4つの派閥の長なんだけどさ、その全てを纏める逢魔さんが絶対の信頼をおいてたのは朱嘉だもんな〜。」