第8章 捌ノ型. 悪意には悪意を
瞬間どよめく隊士達。
隊士達の困惑も分かる。
先日まで隊士ですらなかった鬼の子が、鬼殺隊最高位の柱に任命されたのだ。
その上現柱のお墨付き。
コネだけでは無理だと分かっているからこそ、自分達がどれだけ刹那の実力を見誤っていたのか知らされる。
不安からか、まだ噂を信じているのかコソコソと話す者もいれば、
刹那への態度に対して心当たりがあるのか顔面蒼白になる者もいる。
まあ中々ざわめきの収まらないそんな現状も、
「うるせぇ!!文句があるなら俺達に直接言えやぁ!」
不死川の声に一瞬で静まってしまったが。
不死川に触発された柱全員が立ち上がり怖い顔をして、隊士達を見るものだから
まさに蛇に睨まれた蛙状態。
静かになったのを肯定と取り、お館様は朱嘉へと向き直った。
「これでもう心配はいらない。刹那は私と柱が全力で守るよ。」
いつもの優しい声音に戻ったお館様が朱嘉へと手を差し出した。
目を見開いた朱嘉だが、ニヤリと笑ってその手を強く握る。
「大した長だよ、あんたは。」
「褒め言葉だと受け取るよ。」
そう2人が不敵に笑った事で、この裁判は終わりを告げた。
鬼殺隊は最高の戦力を、鬼神達は愛しい主の安寧を手に入れて。