第10章 きみの呪いが解けるまで
『硝子ぉ…!!』
親友の言葉に、再び瞳を潤ませるなまえ。けれど、自分は硝子にそんな風に褒めて貰えるような人間では無いと正直思う。兄の夢を五条に背負わせて、自分で決めた目標すら達成できていないのだから。果たしてそんな弱い自分は、あの最強である五条悟の隣に並ぶに値するのだろうか。まるで呪いのように縺れた自分の中にある感情が、自分でもよくわからなかった。
18歳という年齢は、硝子の言う通り確かに男性にとって一つの節目である歳なのだろう。だからこそ彼の本当に欲しいものをプレゼントしてあげたいと思う。まだ学生ではあるけれど、呪術師として給料はそれなりにもらっているし、物であればある程度買える。けれど、一体何をあげれば喜ぶのだろうか、見当もつかない。
いつも三人で一緒に考えていたのに、今年からは二人になってしまった。どうしようもない寂しさを感じて、けれどもこうして変わらず隣にいてくれる硝子の存在に尚一層救われる。それは勿論、五条も。
そんな大切な人が生まれた大切な日だ。彼にとって素敵な1日にしてあげたいけれど、一体どうすれば彼は喜んでくれるのかな、なんて、しばらくそんな事を考えていれば、あっという間に日が経ってしまった。