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【呪術廻戦】廻る日の青

第7章 不協和音






『――星漿体の少女の護衛?』



なまえが呪術連の研究所に到着した夜。早速五条から電話が掛かってきた。歌姫と冥冥は無事救出できたけれど、帳を下ろすのを忘れてこっぴどく夜蛾に叱られたという愚痴と、高専の結界である天元様と星漿体の同化が行われる二日後まで星漿体の少女の護衛を任されたという報告だった。



―――天元。
高専各校、呪術界の拠点となる結界、多くの補助監督の結界術、それら全てがその天元によって強度を底上げしている。天元の力添えなしでは、セキュリティや任務の消化すらままならない。
天元は”不死”の術式を持っているが、”不老”ではない。一定以上の老化を終えると術式が肉体を創りかえようとするらしい。そうなってしまえば、高専が受けている恩恵は愚か、天元が人類の敵になることも大いにあり得る。それを防ぐため、500年に一度”星漿体”――天元と適合する人間と同化し、肉体の情報を書き換える。肉体が一新されれば術式効果もふり出しに戻り、恐れるべき”進化”は怒らないのだとか。けれど、その星漿体の少女の所在が外部に漏れたらしく、二日後の満月に行われる同化まで、少女の命を狙う組織から少女を護衛し天元様の元へ送り届けること。それが今回五条と夏油に課せられた任務だという。


≪そのガキんちょの生意気加減がさー、入学してきたばっかのオマエにちょっと似てんの≫

『はは、そりゃ相当生意気だねえ』


携帯を耳にあて五条の話を聞きながら、なまえは懐かしい部屋の椅子に腰掛け昔書いていた日記をぱらぱらと捲っていた。日記と言うよりも兄宛の手紙のようなもので、へたくそな字で、毎日同じようなことばかりが書かれている。高専に行く事が決まってから、てっきり部屋も部屋のものも処分されたのかと思っていたが、出て行った日から何一つ変わっていなかった。掃除だけはしてくれているのか、埃一つ見当たらない。高専の部屋は五条のせいで物で溢れかえっているから、改めてこの無機質な部屋に長いこと住んでいたのが今では少し不思議に感じた。懐かしさに耽って五条の話を聞き流していれば、次に出てきた言葉に思わず日記から顔を上げた。


≪でさー、明日朝から沖縄行くことになった≫


一体今までの話と、沖縄へ行くことになんの繋がりがあったというのだろう。まぁ、五条の発言が突拍子もないのは何時もの事だけれど。
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