第7章 不協和音
『もう行かなきゃ。じゃあね。送ってくれてありがと。任務頑張って。歌姫先輩よろしくね』
「へーへー。気をつけて行けよ。着いたら連絡して」
『うん。いってきます』
ひらりと手を振って手荷物検査所に消えていくなまえを、五条は見えなくなるまで見つめていた。
「…たかが数日、ね」
ぼそり、と小さく独り言を呟いてから、五条は小さくため息を吐いた。出会ってからというともの、一日足りとも彼女と顔を合わせない日なんてなかったものだから、そのたかが数日という期間でも、五条にとってはとてつもなく長く感じた。きっと寂しさを感じているのは自分だけなのだという事実が腹立たしくて最後までこうして抵抗してみたけれど、彼女の笑顔には敵わないと改めて思い知った。愛しい背中が見えなくなるまで見送ったあと、行き場の無い寂しさを抱えながらもくるりと踵を返すと、そのまま任務地へと向かったのだった。