第4章 繋ぐ日の色
『食べてる。これでも一応筋トレもしてるんだよ』
「そうか。なまえは運動神経もいいし体幹もいい。それに筋力がついてくればもっと強くなると思うんだけど」
夏油となまえのやり取りをすぐ横で聞いていた五条が、冷やかすように続けた。
「体術も術式もまぁまぁなのに、なんかいまいち使いこなせてないよね。こういうのなんて言うんだっけ、あ、そうそう宝の持ち腐れ」
アハハ、といつものように小馬鹿にするように言えば、なまえは一瞬俯いてから、小さく口を開いた。
『……そうだね、その通りだ』
「………」
いつものように、むすくれた顔で『うるせぇバカ!』なんて言ってくるのを期待していた五条にとって、予想していたものとは随分違う反応だった。なまえの怒った顔が見たくて、ついからかったつもりだったのに。
一瞬、ひどく暗い瞳をした彼女が気になった。
『私先に休憩行くね』
そう言ってなまえはひらりと手を振る。弱々しい小さな背中は、あっという間に遠くなっていってしまった。
「……アレ、もしかして俺地雷踏んだ?」
「……みたいだな」