第2章 魔法にかけられて
「アレが噂のキャラメルポップコーン!」
五条の青い瞳が、柄にもなくきらきらと少年のように輝いている。確かに彼はいつも甘ったるいものばかり食べている。けれど、なまえにとってポップコーンと甘いの組み合わせはナンセンスだった。
『えーポップコーンといえばバターか塩でしょ、甘いのはいらな――』
―――気づけば、ぐいぐいと腕を引っ張られたまま、キャラメルポップコーンがうんと入った随分ファンシーで現代っぽく言うとユメカワなポップコーンケースを首から下げさせられていた。
『……これ私が下げて歩くの?』
「アッハハハハ超似合ってんじゃんこの組み合わせバカっぽいところが特に!」
馬鹿にするように笑いながら、ポップコーンケースをぶら下げているなまえの姿をぱしゃぱしゃと携帯カメラで撮っている五条。そんな彼を睨みつけながら、なまえは思う。どうせ夏油にでも送りつけて馬鹿にするのだろう。そういえば、硝子からしつこく写メを催促するメールが来ていたっけ。そんなことを思い出しながら、なまえは写メを撮りまくっている五条に向かって言った。
『ねぇ、硝子にも送っといてよその写メ』
「は?なんで?」
『写メ送ってって頼まれたんだよ。私は写真撮ってないから。今アンタいっぱい写真撮ってたじゃん、送っといてよ』
「んー、これは俺のだからダメ」
その言葉の意図がわからずに首を傾げていれば、五条が続けた。
「さっき二人で撮ったやつなら送ってもいーよ」
『?じゃあ、それ送っといてよ』
「じゃ貸して」
『何を?』
「携帯だよバーカ」