第17章 残響のマリオネット
「その姿を気の毒に思わないことも無いですが、そもそも発端として、アナタが危険な呪術で金儲けを行なっていたことは明白です」
「……お、オオ、おい、おい、?冗談だろ?わ、ワワ、わ私は人間だぞ?呪術師だカラって、に、人間を、ソ、その刃で、ド、ドドど、どうすルつもリ」
「その身体は、もはや手遅れですし」
「いやっ、いやだっ、そんな仕打ちあるかっ!私は!死者を蘇らせて!救ってやった!人の心!私が救ってやったんダ!なのに私ダケ!こ、こんなめっ、こ、ここここ、ココロッ、コロッ、コロシッ!コロッ!ココ」
「既に言語も自意識も危うい。なによりーー」
七海は狭い室内で、器用に刃を振り被る。
その動作に確実な殺意が籠もっていることは、人形師の目から見ても明白。絶対窮地に追い込まれた時、とれる行動は多くはない。
恐怖と焦燥が、人形師を支配する。
そして、いつ弾けてもおかしくない緊張の糸を、七海の言葉が断ち切る。
「ーー他者へ呪いを振りまいてしまったアナタは、既に呪いそのものですから」
「コロシてやルぁァぁああああァァアア!」
かくして、人形師は七海に飛びかかった。
辛うじて残った一本の生身の腕と、無数の人形の腕を振りかざして。
七海は動じない。
ただ、身体のバネを使って、振りかぶった刃で風を切る。
「大人ならば、責任を負いなさい」
一刀。
「ーーーァ」