第17章 残響のマリオネット
「えっ、あっ、あァっ、た、たす、タスけて、クレ、くれるんじゃ……?」
「いや無理だろ。分かるでしょ、自分で」
「……なまえさん、対処は?」
『ここまできたら私の手には負えない。これほど状況が進行してなけりゃ、硝子なら切除できたかもしれないけど』
「……そうですか」
なまえの返答を聞いてから、七海が、背に手を伸ばす。
彼は背に、鉈と形容するのが相応しいだろう、大振りの刃を帯びている
―――七海は、背負っている。
サラリーマンを辞め、呪術師を選んだ者として。
振り下ろすべき刃を背負っている。
その刃を、七海は人形師へと叩きつける。
「ま、マテ、ナンダそれは」
「7:3」
七海は、刃で空を切る。
「私の術式は、対象を線分した時……7:3の比率の点に、強制的に弱点を作り出します。それは生物と非生物とにかかわらず、アナタのように両方の融合した物体に対しても、一個として適用されます」
「…な、ナニを言って……」
術式の開示。
縛りによる、術式効果の増幅。情報を説明するデメリットを前提とした攻撃力のアップ。
それは即ち、七海にとって絶対殲滅の意思表示ともいえる。