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【呪術廻戦】廻る日の青

第17章 残響のマリオネット





「あっ、あ、あああ……な、何しに、何しに来た?」

「この期に及んで何しに来たか分かんねーなら喋るなって。馬鹿も行き過ぎると可愛げがない」


五条の言葉に、人形師は慌てながら続けた。


「わっ、わ、私には時間がないんだっ、時間がっ!」

「時間がないというのはこちらの台詞です。そろそろ4時を回る。出張先とは言え時間外労働はしたくありません」

『七海に残業を強いたら高くつくぞ』


三人は肩を並べたまま、人形師へと歩み寄る
狭い室内。三人並んで入り口を塞げば逃げ場などない。詰んでいると言って間違いない状況だ。人形師には、取れる手段が限られてしまったーーー結果。


「たっ、た、た、た、助けてくれぇっ!」

「は?」

「よ、よよよ、よか、よかった。こっちから探しに行きたいところだったんだっ!本物の呪術師っ!た、助けて!金なら貯めた!だから、だからっ」


あろうことか、人形師は、七海の足元へと縋り付きーー助けを乞うた。

その時点で、七海たちは同時に違和感に気が付いた。

確かに人形師は、とても呪術師とは呼べないような男だ。
七海はおろか、高専の一年生に任せても一人で制圧しきれるだろう。それほどに、人形師は、呪術師として、呪詛師として、弱い。ーーー弱すぎる。

呪骸に籠められていた呪力はけっして強いものではない。その術式も単純なもので、人間の呼びかけに機械的反応を示すだけの、まやかしに過ぎない。だとしても、弱すぎる。
その程度の呪術すら、七海の足に縋り付く目の前の男が使えるとは思えない。だというのに、その男からは確かに、呪骸と同じ呪力が漏れ出している。


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