第17章 残響のマリオネット
はたして、あっけないほどにあっさりと、元凶の根城は見つかった。
地下街の中でも特に古い区画。
広いエリアから枝分かれして、とあるビルの地下フロアへと通じる道。地下街へ続く階段の裏に、入り組んだジグザグの通路。元は居酒屋のテナントでも入っていたのだろう。立地の悪さから、真っ当な商売をするには向かないであろうその場所は、しかし、やましい商売の拠点としては適していた。
帳と同じ原理の術式で、一応、人目を避けてはいる。それでも隠蔽としては粗末という他ない。残穢を追ってきた3人には、まるで足跡が途切れず続いているかのように、はっきりと痕跡が確認できる。
「呪術師の人材不足を実感するよ。こんな三流が堂々と拠点まで構えてるってのに、野放しだったとはね」
「呪霊の強さは都心集中。呪術師の活動もそれに比例。どうしても地方へ向ける目は鈍くなりがちですからね」
「この程度の悪党呪詛師、本当なら放っておいても大した問題ではないんだけどね」
『まぁ、そうだろうな』
そんな会話をしつつも、誰から、というわけでもない。しかし、特に示し合わせるでもなく、3人は互いに片足を同じ方向に踏み出して。
「ああいう被害を出すようになってしまっては」
「流石に潰しておかないとね」
『当然』
その言葉を合図に、ほとんど同時に、3人の呪術師は扉を蹴り破った。