第17章 残響のマリオネット
「ちょっ……な、なんですかアナタ!」
当然、母親は狼狽る。
彼女からすれば、七海と五条となまえの3人は、親子の日常に割って入ってきた不審者だ。
けれど、七海たちには彼女を咎める理由があった。大人として以上に、呪術師として。
「離してください!親子の問題です!」
「そういうわけにはいきません。アナタ、自分が抱えている物が何か、お分かりですか?」
「何、って……」
「なるほどね、人形ってのはこういうことか」
「ひいっ!」
七海の逆側から五条が顔を近づけ、母親の抱える赤子を覗き込む。
「いったい何が出てくるのかと思えば……そういうことか。こんなのを売りつけて死者蘇生を謳うなんて、大したインチキっぷりだよ」
「や、やめてくださいっ!夏輝に触らないで!」
『そんなにそれが大事ですか?足元で泣き止んでいるこの子よりも』
秋人と呼ばれた幼子の背中をあやすように撫でながらそう言うなまえに、母親は鋭い顔つきで言った。
「当たり前でしょう!この子だって、私がお腹を痛めてーー」
「購入したのでしょう?」
七海の言葉に、凍りついたかのように母親は動きを止めた。