第17章 残響のマリオネット
「そりゃ僕となまえに知らせたくないわけだ。確実に宿儺の器を葬りたがってる連中としては」
「ご理解いただけたようで」
「ナメられたもんなだな。僕がそんなものをアテにしたがると思ってるのかね」
そう言う五条を横目に、七海はちらりとその隣にいるなまえに視線を向けた。どちらかと言えば、それはーーー。一瞬そう考えてから、その雑念を振り払うように七海は続けた。
「……1%以下の可能性すらも恐れ、潰す。だから権力者は権力者として君臨し続けているんじゃないですか?」
「100%インチキだろうけど」
「でしょうね。そんなことができれば―――」
「そんなことができれば、この世界はとっくに終わっているからね」
―――死人は蘇らない。
それが可能であるとすれば、おそらくそれは世界にとってあまりにも大きな呪い。
呪いの王と呼ぶべき、絶対の呪いに違いない。
「もっとも、この怪しい商売の対象はあくまで"赤子の蘇生"に限るようなので……本当に可能性など、有ってないようなものなのですが」
『赤子の蘇生に限る?なんだってまた』
「さぁ。客層がそう限定されているんです。そこまで含めて調べるのが、私の仕事です」
「そもそも死者蘇生自体が眉唾ものだろうに」
「だからと言って、調べないわけにはいきませんから。それが仕事というものです」