第17章 残響のマリオネット
ホクホクのジャガバターを堪能したのち、立派な大人なのでゴミをきちんと片付けた3人は、大通公園を東に向かって歩く。
大通公園が途切れたところで、バスセンターが見えて来る。その近くには大きな道路が南北に横切っている。大きな道だが、歩いている人はそう多くはない。
「で、今回調査するのはどんな阿漕な呪詛師なんだっけ。いや、そもそも呪詛師かどうかも曖昧だけど」
五条の問いかけに、七海は呆れたように口を開いた。
「あやふやなままついてきたんすか」
「どうせ対処するのはオマエだからね。僕となまえはバカンスのついでにきてるだけだし」
「………」
無言の圧を七海がなまえに送るが、彼女は目の前のソフトクリームに夢中だ。
「じゃあついてこないでくださいと言いたいところですが……というか、けっこう腹に溜まるもの食べた後によくアナタ達ソフトクリームなんて食べられますね」
「いやオマエも食ってんだろ」
チーズとミルクのツインソフトクリームを、零さぬように器用に両側から舐めながら、五条となまえは当然の如く七海の前を歩いていた。三十路手前の男女が、一つのソフトクリームを公共の道路で堂々と当然の如く舐め合っている。このソフトクリームよりよっぽど甘ったるい二人のイチャつきぶりに、七海はちょっぴりストレスが溜まっていた。
いつまでも変わらない二人が微笑ましいような、痛々しいような、そんな複雑な気持ちで七海は自身のソフトクリームをぺろりと舐めてから続けた。
「なまえさん、アナタも五条さんと同じく何も知らずについてきたんですか」
『まあ、うん。少し気になる話を小耳に挟んだくらいで、それに七海が関わるってことだけは聞いてたんだけど、それ以上のことは知らない。あまりに急だったからな』
ぺろり、と口の端についたソフトクリームを舐めながら、なまえは大きな瞳を七海に向けた。