第16章 因中有果
「先生、なまえさん、俺は大丈夫!!ソイツ追って―――ごめん嘘ヘルプ!!」
虎杖に巻きつく呪霊を、五条が瞬時に切り裂いた。再び前を向いた時には、其処にはもう一体の呪霊も、火山頭の呪霊の姿も無い。
「……へぇ」
辺りを見渡していれば、五条が虎杖を助けている間に後を追ったなまえがひらりと戻ってくる。
「逃げたか」
『気配を消すのが上手い。あの火山頭よりもよっぽど不気味だ』
「このレベルの呪霊が徒党を組んでるのか。楽しくなってきたねぇ」
穏やかに話すなまえと五条の後ろで、土下座をしている虎杖。そんな彼に向かって、五条が口を開く。
「悠仁…っていうか皆にはアレに勝てる位強くなって欲しいんだよね」
「アレにかぁ…!!」
「目標は具体的な方がいいでしょ。いやー連れてきてよかったー」
「いや何が何だかわかんなかったんだけどマジかこの人」
「目標を達成したら後はひたすら駆け上がるだけ。ちょっと予定を早めてこれから一月映画見て僕と戦ってを繰り返す」
「先生と!?俺生きてるかなぁ…」
「その後は実戦。重めの任務をいくつかこなしてもらう。基礎とその応用しっかり身につけて交流会でお披露目といこうか」
『タイミング的にはベストだね』
五条となまえがうんうんと納得しているなか、虎杖は勢いよく手を挙げた。
「はい先生!なまえさん!」
「はい悠仁君!!」
「交流会って何?」
虎杖の問いに、なまえはぎろりと五条を睨みつけた。
『……悟。アンタまさか悠仁に言ってなかったの?』
「……言ってなかったっけ?」
てへ、と効果音でもついてきそうなふざけたその顔に、なまえの手刀がかまされる音が、静かな夜に響いたのだった。