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【呪術廻戦】廻る日の青

第16章 因中有果





『ほんっとありえない。交流会の話もしてないとか。余計なことはいつも一言も二言も多いくせに大事なことは言ってないのよね。本当そういうとこ』

「いやー、言わなきゃいけないことが多すぎるこの世の中じゃん?だから敢えて全てを言わないようにしてるわけよ」


―――帰り道。

高専に戻り悠仁に交流会についての説明をしてから、五条となまえは帰路に着いていた(学長との食事は伊地知に押し付けてすっぽかしたらしい)。

適当なことを言う五条に、なまえは小さくため息を吐いた。


『はあ、そうですか。ま、教師としてのアンタのやり方に口を出すつもりはないけど、毎年、というか毎日のように同じようなクレームを受ける私や伊地知たちの身にもなってよね』

「んー、男の苦労に興味はないけど、可愛いなまえが困ってるなら僕も困っちゃうな。あ、そうだ、そんな疲れてるなまえの身体を労うために、慰安旅行でもどう?」

『どこにそんな暇があるんだよ』

「たまには行きたくない?旅行」


なまえの顔を覗き込むように問いかける五条に、なまえは考えるように空を仰ぐ。

行きたくない、といえば嘘になる。
呪術師は人手不足が常。特に五条となまえのような特級に分類されるような貴重な呪術師には、常に任務や仕事がついて回る。旅行に行く暇などほぼほぼないと言っていいだろう。けれどなまえも一女性であって、旅番組や旅行雑誌を見かけるといいなぁ、と思ってしまうのも事実である。現にこの前立ち寄ったコンビニで「北海道☆夏の一人旅」という旅雑誌をぱらぱらと捲っていたくらいだ。


「ねぇ、行きたくないの?僕と旅行」


催促するように続ける五条の口が面白くなさそうに尖る。ああ、旅行も一緒なことが前提なんだ、と察した。一人旅とかいいな、なんて思っていた矢先のことだったから、すっかり脳が一人旅モードになっていた。一人旅なんて、そもそもこの五条が許してくれるわけがない。


『……いや、行きたくないわけじゃないけど』

「そっ、じゃあ決まりね」

『は?』

「北海道。行きたかったんでしょ?この前パンフ見てたし」


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