第15章 ハジメテをキミと。※番外編
『……え、まって。あんた今どこに出した?』
なまえの上で肩を小さく揺らす五条に問えば、五条は汗ばんだ白い髪をさらりと揺らしながら、とびっきりの笑顔で答えた。
「ごめん、ナカに出しちゃった♡」
てへ、なんて効果音でもついてきそうなきらきらした笑顔とは反対に、なまえの顔は鬼の形相になる。
『~~っこのクズ!!!』
「なんで?夫婦なんだから中出しは普通じゃね?」
『子供できたらどうすんだよ!?私たちまだ18だぞ!?』
「いーじゃん。なまえを俺のものとして縛り付ける事柄がもうひとつ増えて」
『マジでクズ!!!呪術師で忙しいのに育児なんてできるわけねえだろ現実的に考えろ!!』
「んー。それとこれとは別じゃない?……あ、でも子供になまえを取られるのは嫌だな。いくら自分の子供でも男だったらぶっ飛ばしちゃいそう」
『子供にすらマウント取りそうで怖いわ。あんたとの子供は絶対"まだ"つくんないからね。もう中出しはやめてよ』
「ふーん。"まだ"、ね。んー、考えとく♡」
なにやら嬉しそうになまえの言葉を復唱してから、五条はそのままぎゅうう、となまえを抱きしめた。
「なまえ、愛してる」
『……何誤魔化してんだよクズ。顔の良さで何でも解決すると思うなよ』
「でも好きでしょ?俺の顔も」
『いや普通にタイプじゃない』
「は?」
途端に抱きしめていた腕を離すと、五条は顕著に顔を歪めながらなまえを睨みつけた。
「じゃあ誰の顔がタイプなの?」