第15章 ハジメテをキミと。※番外編
『夜峨せんせーみたいなイカつい感じ?』
「へーあいつ潰してくる」
『あはは、冗談だって』
「冗談でもやめて。なまえは俺しか見ちゃダメだから」
『わかってるし、悟しか見えてないよ』
「だよね」
なまえの言葉に、途端に満足そうににやりと笑った五条は続けた。
「ってことでもっかいしよ」
『はあ!?嫌だよ疲れた、お風呂入りたい』
「お風呂ですんの?まぁ悪くない」
『ちげえよバカ。暑苦しいからとっとと離れろ』
「やだ。……今日も明日も明後日も、その先もずっとずーーーっと離さない」
ぎゅ、と回された両腕に、なまえは仕方なさそうに眉をさげながら笑った。
『さびしんぼだなぁ、悟は』
「―――ねえ、なまえ。最高に幸せな誕生日プレゼントをありがとう」
改まってそう言う五条に、なまえは一瞬驚いたように目を見開いてから、子供をあやすかのようにそのさらさらの白い髪を優しく撫でた。
『誕生日おめでとう、悟。産まれてきてくれてありがとう』
―――彼が産まれてきてくれた、大切なこの日が。
彼にとって、来年も、再来年も、その先も、ずっと、ずっと―――たくさんの幸せで溢れますように。
そんな願いを込めて。
番外編 fin.