第15章 ハジメテをキミと。※番外編
漸くなまえの口から出てきた本心に、五条は驚いたように瞳を見開き、首を傾げた。
「は?」
『もういいでしょ!?手どけて!』
「俺だけ知ってるって何が?」
『っだから今までの経験だよ!さぞかし経験豊富なんだろ!?』
なまえの発言に、五条はぱちぱちと大きな瞳を二度瞬かせた。
「……え、何オマエまさかそれが原因で拗ねてたの?」
『うるせえ!悪かったなガキで!いいからどけ!』
なんだか恥ずかしくなって、五条の顔が見れない。顔を逸らしたまま強引に腕を払って、なまえはさっさと教室へと戻っていってしまった。
そんななまえの背中を見つめながら、五条は顎に手を充ててにやり、と微笑んだ。
「クク、可愛すぎだろ」
ぽつり、と呟いた声は、勿論当の本人に届くことはなく。冬の静かな廊下に静かに溶けて消えたのだった。