第14章 ある夢想
ぽつり、とそう言って、伏黒は俯いた。そんな伏黒に、なまえは口を開いた。
『神様はさあ、平等に命をくれたけど、平等な現実はくれなかった。世の中、不平等な現実のみが平等に与えられてる。不平等な事ばかりだよね、呪術師なんて仕事は特にさ。でもそれは呪いが見えない非術師だって同じ。だからこの世界には呪いが溢れてる。それを私達が祓うんだ、不平等に与えられたこの力でね』
優しくそう語りかけるように話すなまえに、伏黒は小さく息を吐いてから、口を開いた。
「……似てるんすよ、少し」
『ん?何が?』
「…虎杖が。なまえさんに」
伏黒の言葉に、なまえはふふ、とほほ笑んだ。
『私は悠仁には遠く及ばないよ。悠仁は、太陽みたいだよね。いつだって眩しくて、周囲を明るく咲かせるの』
「……そういうところが似てるんです。そう見えるくせに、本当は弱いところとか」
『ちょっと。私に勝った事ないくせによく言う』
「勝ちますよ、そのうち。まさか忘れてないですよね、約束」
『もちろん。私に勝ったら、子供扱いを辞める、でしょ?小さい頃からブレないねえ』
「もう俺高1ですし。いつまでも子供扱いされるのはうんざりなんで」
『長い反抗期だなぁ。高1なんてまだまだ子供だよ?』
「俺がオッサンになってもそんなこと言ってそうで怖いです」
『あはは、確かに』
楽しそうに笑う彼女に、先程まで強張っていた伏黒の顔が自然と綻ぶ。