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【呪術廻戦】廻る日の青

第1章 もしも運命があるのなら




―――無下限呪術。

原始レベルに干渉する緻密な呪力操作で空間を支配する。それを可能にしているのが、彼の持つ眼"六眼"。

噂には聞いていたけれど、間近で見るとやはり迫力が違う。こくり、と唾を飲み込むなまえを、五条はにやりと楽しそうに見下ろしながら言った。


「あ、俺のこと好きになっちゃった?」

『はぁ!?んなワケねぇだろ!』

「クク、ムキになるところが益々マジっぽい」

『ざっっけんな!!』

「いたいけな少女の前だよ」


思わず引っ叩こうと構えていた右手をハッと抑えて、なまえは笑顔でみかに向き直る。


『あはは、ごめんねみかちゃん。あしながおじさんが喧しくて』

「その設定もう無理があるだろ」


二人はそんなやり取りをしながら、残穢の痕を追い次々と湧いて出る呪いを祓っていった。みかには気取りもさせないように、会話をしながら、ごく自然に。
初めてペアを組んだにしては、お互い認めたくないところではあるけれどなかなかのコンビネーションだった。無事にもう一人患者を救出したところで、帳があがった。おそらく後の一人は、硝子と夏油が救出したのだろう。



「よくやった、悟、なまえ」



ぱちぱちと拍手をしながら、完全に上がった帳の外側からやってきたのは夜蛾と、その後ろには抱擁し合う母と娘らしき二人。おそらく硝子と夏油が救出した患者と、その身を案じて駆けつけた母親だろう。

そんな光景を見つめていれば、なまえの手をずっと握っていたみかの手にぎゅっと力が入ったのを感じた。そんなみかになまえが声を掛けようと口を開こうとしたとき、みかが口を開いた。


「お姉ちゃん、ずっと手を握っていてくれてありがとう」


みかはそう言って、ずっと握っていた手をそっと放すと、泣きそうな声で続ける。


「……ごめんね。みか、嘘ついてたの。ホントはね、お父さんも、お母さんも、もういないんだ」


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