第13章 雨後
そう言ってから夜空を見上げる五条の横顔は、なんだかこのまま暗がりの夜空に吸い込まれてしまいそうなくらい、儚く見えた。後にも先にも、あんな彼の姿を見たのは、あの夜が最後だった。
大切な人がこの世界から消えようと、この世界は変わらず、廻る。廻る。廻る。
いつもみたいに明日が来て、そして夜が明ける。まるで何もなかったみたいに。
正しいさよならの仕方は、誰も教えてくれない。
呪術師として共に地獄を生きていく事を選択した私達は、友の屍を超えて尚、前に進まなくちゃならない。
全ての終わりは、始まりの火種に過ぎないのだから。