第11章 始まりの青
「マジで!?伏黒の母ちゃん美人すぎじゃね!?」
「嘘でしょアンタ重油まみれのカモメに火をつけたりしてたくせにこんな綺麗な母親いたわけ!?」
露骨に驚く虎杖と野薔薇に、恵が呆れたように言った。
「……やめてくださいよなまえさん、コイツらからかうの」
『私は恵のこと息子のように思ってるもの』
「…それは嬉しいですけど、あれが父親ってのは絶対嫌です」
『あはは、違いない』
くすくすと楽しそうに笑ってから、なまえはぽかんとしている虎杖と野薔薇に改めて向き直る。
『紹介が遅れたね。私はこの呪術高専の実技講師兼研究員を務めているなまえと申します。苗字だと少しややこしいから、気軽に下の名前で呼んでくれて構わないよ』
「え、ここの先生だったの!?て事は呪術師!?こんなに可愛いのに!?」
「おい虎杖、この人これでも特級呪術師だぞ。日本に5人しかいないうちの1人だ」
「マジで!?」
「人は見かけに寄らないって、この言葉がこんなに似合う人なかなかいないわよね」
ぎゃあぎゃあと言い合う3人を、なまえは微笑ましい表情で見つめる。自分たちにも、こんな青い時代があったっけ、なんて、懐かしい思い出に浸っていれば、虎杖が問う。
「なまえせんせーは伏黒の母ちゃんなんだよね?」
「お前本当バカだな。そしたら俺をいくつで産んでんだよ。産みの親じゃなくて、育ての親って意味だよ」
「なるほど!?じゃあ苗字がややこしいってどゆこと?伏黒とおんなじだからだと思ったけど…」
『惜しい』
「全然惜しくないですよやめてください」
ぴしゃりと反論する恵に、なまえはふふ、と微笑んだ。