第11章 始まりの青
恵は無表情ながらも少し嬉しそうに駆け寄ってくると、口を開いた。
「いつ戻ってたんですか?」
『今し方。それより聞いたよ、無茶をしたんだって?体の調子は?』
「…もう大丈夫です、任務にも支障ありません」
『無茶はいけません。ほら、怪我見せてごらん』
「だから大丈夫ですって!」
制服を捲ろうとするなまえに慌てて抵抗する恵に、後ろから声が掛かる。
「おい伏黒ー!って、え!?誰!?」
なまえを視界に映してからわかりやすく驚いた素振りをする金髪の男の子。隣には肩までの茶髪を揺らした女の子が立っている。
「おい伏黒、その美人誰だよ!?」
「さすが東京ね。にしても綺麗すぎじゃない?芸能人?あの顔の小ささどうなってんの?」
こそこそと恵に耳打ちする2人の生徒。
おそらく2人が、呪術高専の新一年である虎杖悠仁と釘崎野薔薇だろう。
『君たちが恵の新しいクラスメイトの悠仁くんと野薔薇ちゃん?』
「えっ、あ、ハイ!虎杖悠仁っす!お姉さんはどちら様?」
『私?私はーー』
なまえは隣で眉根を寄せている恵の体を後ろからぎゅ、と抱き締めるようにして、いたずらに笑いながら言った。
『恵のママです』