第10章 きみの呪いが解けるまで
『…色々!!ていうかなんなの!!急にいなくなったと思えば急に来てさ!!ほんと意味わかんなくてむかつく!!』
「何拗ねてんだよ。そんなに俺に会えなくて寂しかったの?」
『別に!!』
「俺は寂しかったよ」
『……あっそ!!』
素直にそんな事を言ってしまう五条に照れ臭くなって、なまえはつい顔を逸らす。窓から見える空はもうすっかり暗くなっていて、このまま何もプレゼントを用意できずに誕生日を迎えてしまうのだろうかと不安になった。そもそも一体、五条は何処に向かっているのか、さっぱり見当もつかない。
「ねぇなまえ、こっち向いてよ」
『やだ』
「久しぶりに会えたんだからもっと顔見せて」
『は、ずっと会いに来なかったのそっちじゃん』
「くく、俺が会いに来るの待ってたの?かーわいー」
『そんなんじゃないから!!』
からかう五条にむかついて思わず顔を向けて反論すれば、想像以上に近くにあった五条の顔に再び心臓が鳴った。それが尚更腹立たしくて、なまえはむすくれた顔で目の前の五条を睨みつければ、五条が口を開いた。
「俺は毎日会いたかったよ。でも準備にちょっと手こずっちゃってさ」
『何、準備って』
「色々ー」
先程のなまえの言葉の口真似をする五条を、なまえは更に睨みつけた。
『あっそ』
なまえは素っ気なくそう言って、五条から顔を逸らし窓の外に視線を向けた。
景色は気づけば一転、高専がある郊外とは正反対のきらきらとした景色が広がっていた。それから車内に会話はなく、なまえはただひたすら窓の外を眺めていた。
それから小1時間ほどしたときだった。横から大きな手が伸びてきて、視界が真っ暗に遮られる。