第2章 「弟では、ないですね」【竈門炭治郎】
「た…炭治郎くん?」
「はい、なんですかさん」
「私が悪かったから、もうからかったりしないから出ない!?」
「そうですね、さんが出たら俺も出ます!」
どうしてこうなった。
いや十中八九私に非があるのは確かなのだけど。
にしても炭治郎くんやばすぎる。
かれこれ1時間近く湯船に浸かっている私は色々と限界だった。
頭は痛いしくらくらするし、視界がなんとなく霞んできてる。
炭治郎くんはピンピンした様子で「良い湯ですね!」なんて言ってる。善逸くんの言葉を借りるなら、とんでもねぇ炭治郎だ。
至福の入浴時間が地獄の我慢大会になったとかどんな冗談だ、笑えない。自業自得だけど。
「………っもう、無理…!!」
ばさ!と勢いよく立ち上がれば夜風が温まりましたすぎた身体を冷ましていく。
あ、風が気持ち良い、なんて思った時には視界が真っ暗になっていた。所謂立ちくらみだろう。
「あ、や…ば…、」
「さん!」
ぐらついた私はそのまま温泉の岩肌にぶつかることを覚悟して身構えたがどれだけ待っても衝撃はこない。
「…炭治郎、くん」
「……大丈夫ですか?」
そうか。炭治郎くんが支えてくれたのか。
申し訳なさそうに眉を下げた炭治郎をよ~く見てみると心做しか頬は赤色に染まっていて、息苦しそうだった。
「……ふは、炭治郎くんも、のぼせてたんだね…」
なんだ、意地張ってた平気なフリをしてたのか。
くすくすと笑うと恥ずかしそうに「すみません…」と視線を逸らした。