第8章 ローズとエリザベス
基地に着くと基本的には当直隊員を除き艦から下りるが、ローズは艦長室に寝床があるので艦から下りる事は滅多になかった。
「ローズもたまには外に出るか?
まぁリードは付ける事になるが…」
スコットがローズの頭を撫でると、ローズが「ミャ~」と鳴いた。
「こいつ、分かっとるんすかね?」
都合よく鳴くローズにボブが首を傾げる。
「特に艦長の言葉に反応するわよね」
「やっぱり艦長が一番偉いって分かってるんじゃないですか?」
メルとリンが顔を見合わせる。
「エリー、データファイルは出来てるか?」
「艦長室ニ用意シテアリマス」
「ありがとう」
レスキュー艦が基地のドックに収まるとスコットはローズに首輪とリードを付ける。ローズは嫌がる事なくおとなしい。付け終わるとスコットを先導するかの様に歩き出す。
「後は頼んだぞ」
スコットはデータファイルを片手に、後をロブに任せて艦から降りた。
ローズは艦を出てもスコットを先導する様に司令部へ向かう。滅多に行かない場所なのにしっかりと道順を覚えている。これならリードも要らないかとスコットに思わせるくらい脇目も振らない。
司令部に着くとスコットはローズを抱き上げる。
「お前は頭が良いな」
ローズの頭を撫でると、目を細め「ミャ~」と鳴いた。